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ハーゼ理論によるドイツ式両眼視機能検査とは?

理想的な眼鏡作成の条件として、両眼視機能検査は大変重要な役割を持ちます。

ドイツ式両眼視機能検査
 
ドイツ式両眼視機能検査の正式検査名は「ハーゼ理論による両眼視機能検査」若しくは「MKH法:ハーゼ流眼位補正法」と言います。
私がこの「ハーゼ理論による両眼視機能検査」を行うようになってから20年以上経ちます。
 
現在から数十年前、ベルリン眼鏡学校のハーゼ博士が日本に来日した際、このドイツ式両眼視機能検査(ハーゼ理論)とポㇻテスト(偏光視標検眼機)のちょっとしたブームが起こりました。

この時、ポㇻテスト(偏光視標検眼機)を導入した眼鏡店はそりなりの数があったそうですが、体系的・継続的に「ハーゼ理論による両眼視機能検査」を学習しなかった店が多く、ハーゼ理論の本質的なメリットに触れないままにポㇻテストを運用されていた実態もありました。

歴史は繰り返され、現在においても過去と同様の流れがあるようで、ドイツ式両眼視機能検査の名前だけが独り歩きする状況に憂いを感じます。

本来的に「ハーゼ理論による両眼視機能検査」は、従来から広く受け入れられてきた見解である‟斜位は運動神経的融像だけによる”という見解を見事にしたことから始まります。

さらに、斜位を運動神経並びに感覚神経性融像により両眼視感覚に融合されることが研究によって認められました。
この結果、運動神経性の斜位だけでなく、微小な斜位(感覚神経性の変化)を検出することが可能になり、さらには固定化された感覚神経性の変化も正しい検査手法と知識を用いれば検出可能になり、様々な状態を改善することが可能になりました。
 
機械や設備を整えただけではなく、「ハーゼ理論による両眼視機能検査」を正確に理解したテスターが行えば、クライアントが本来持つ精密な立体感・距離感・遠近感・方向感を引き出し、他の検査法では検出できない微小な固視ズレ(FDⅠ・FDⅡ)の検出及び補正が可能です。

ドイツ式両眼視機能検査の起源
1936年にハーゼ理論の原点となる斜位測定法TIB方法が英国人ターヴィルによって開発されました。
この斜位検査方法は従来からあったマドックス法や分析法等の斜位部分補正法と比較しても優れており、運動的融像の補正だけではなく、日常自然下で有効な測定結果を得ることに成功しました。
このTIB法によって多くの満足な矯正結果が得られましたが、解明できないケースも多数あったことで、ターヴィルはベルリンの専門家グループと協力して新たな研究を始めます。
このベルリンの研究家グループに後のポㇻチャートを開発するハーゼ氏が含まれています。

ドイツ式両眼視機能検査の成立
1950年代に入ると、ベルリンの専門家グループ(ハーゼ氏・ティーレ氏・ゴルゲス氏)によって、各種斜位検査の違いによって測定値がどのような影響を及ぼすのかを解明するための大規模な実験が行われました。
この時の実験並び考察に関する論文は現在においても一読する価値があります。
この後、光学メーカーのブッシュ社の協力によってハーゼ氏考案による偏光視標が量産開始され、現在でも有効な偏光ポㇻチャートとして各社より制作されています。

理想的な眼鏡作成の条件として、両眼視機能検査は大変重要な役割を持ちます。

しかしながら、日本では単眼の視力検査による眼科的な評価が根付いてしまっていることにより、欧米諸国と比較すると視科学・視機能評価という点で大変な遅れがあります。

近年、眼鏡補正における両眼視の重要性は認知されてきているものの、その方法や意義はよく理解されないままに安易に商用利用されている面があるようにも感じます。

眼は本来的には、右眼・左眼それぞれの視力評価の後、左右それぞれの映像が努力を必要とせずに完全な融像が行われ、明確な視力、距離感、方向感等が正確にそして迅速に判断できることが要求されます。

両眼視機能検査の目的は、両眼視機能の問題による困り感を発見し、その状態を的確に判断して、可能性の範囲内において補正することです。

また、従来の簡易的測定によって作成される眼鏡の場合においては、特に近視の場合、視力が1.2あるいは1.5に補正可能であるにもかかわらず、しばしば不要に弱く補正をされているケースがあります。

これは、よく言われる「見え過ぎは良くないから弱く補正する」という根拠のない補正方法が取られているのだと思います。

このような根拠のない表面的な補正であっても、眼鏡としてはある程度の使用はできますが、当然ながら遠方視において夜間は特にぼやけがあり、両眼視機能の問題も補正されていないので、生理的に無理のない視運動が行われず、読書・ドライブ・球技・板書・細かな作業のように高次な視作業を必要とする場面では眼精疲労が起こり、それによる種々の訴え【頭痛・めまい・眩しさ・首筋の痛み・肩こり】が起こり、生活・仕事・学習での労働力低下の要因にもなってきます。

これらが、斜位等による眼筋の不均衡によるものであれば、絶えず両眼の筋肉を使用して修正が行われ、理想的な運動に必要とされるエネルギー以上の労力が掛かることによって、その疲れが種々なかたちで訴えとなって現れてきます。

この他にも、両眼視機能の未補正による問題は、両眼視時の方が単眼視のときより視力が悪くなる、動くものを見るとき疲れがひどい、遠近を感じるのに時間がかかる、焦点がなんとなく合わない等があります。

眼鏡を作成する際、これらの問題が両眼視機能不良によるものである可能性がある場合、その状態を的確に判断して補正する必要があります。

それによって、眼鏡が1.2や1.5の視力で作成されたとしても「よく見えて、快適に使用できる眼鏡」になり、種々の訴えが解消され、最高の視力で理想的な視運動が行えることになります。

 

「物が二重に見えます。助けてください」

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物が「二重」に見えるからといってその人が必ずしも酔っ払っているとは限りません。
たとえ、そのように揶揄されることがあるとしてもです。

酩酊状態の表現として用いられるこの「物が二重に見える」という言葉は、脳疾患の可能性が無かった場合、両眼視機能の問題によっての映像を統合できていない可能性があります。

この状態は当店の眼鏡で解決できることが殆どです。

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どうして人間には目が二つ付いているのかお考えになったことがありますか?

その答えはとても簡単です。
それは、両方の目を組み合わせて使うことにより、私たちは視対象を立体的に捉えることができるからです。

しかし、これを実現するにはいくつか条件があって、両眼とも視対象に対して適切に調節されていなければならず、視対象が網膜の中心窩の正面に位置するのが理想的です。

そして両眼の中心窩に投影された映像が立体的な視覚イメージへと変換されるのです。

しかしながら、多くの方の視覚はこの理想的な状態になっていないか、またはなっているとしても眼球の周りの筋肉に大なり小なりの負荷をかけていることがほとんどです。

そしてほとんどのケースにおいて斜位が見られます。

ただし、必ずしも斜位が悪いとは限りません。

実際には、斜位があっても、それらを補う余力がある人には優れた視機能を持つ人もいます。

問題になるのは斜位があって、その量と質のバランスが悪い方です。

こういう人は見ることと引き換えに本人も気付かないうちに自分の体に相当な負担をかけており、これが不快感や様々な困難の原因となり得るのです。


両眼視機能不良にみられるような「複視」を抑制しようとする外眼筋への持続的な「負荷」は、無駄なエネルギーを消費し、体内の他の機能に使用しなければならないエネルギーまで消費してしまいます。

この眼を開けている間は続く絶え間ない負荷は「頭痛」「偏頭痛」「涙目」「疲労」「集中困難」「光過敏」「目測不良」「遠近感の欠如」などにつながる可能性があります。

例えば、本などを読んでいるときに行や文字などがダブって見えたり、文字がぼやけて見えたりします。

車や電車に乗っているときの読書も困難で、特に小さな子供は車酔いしやすくなります。

正確な狙いが必要な球技、例えばテニスや野球、ゴルフ、バドミントン、サッカーなどは、斜位の人には特に難しいとされています。

また駐車時に自車を他車のバンパーや壁などにぶつけてしまった経験のある方は、パーキング・アシストシステムの装着よりも眼鏡による視覚ケアで想定イメージ位置を補正する必要があるかもしれません。

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早い段階から両眼視機能を詳細に把握するメリット

当店のお客様で、一番昔から眼鏡作成をさせて頂いてるお客様で約20年(私が開業する前から)、開業してからだと12年目のお客様が多数おられます。
当店でのアセスメントを経て眼鏡作成を行なった全てのお客様に共通するメリットは、少年期~高年期迄のそれぞれの年代での視機能の変化を可視化できる事、そして固有の見え方の感覚を理解・共有しつつ補正をできる事だと言えます。
これは、単純な視力変化の推移だけではなく、両眼視機能の変化を以前と比較できる事は大変有利な事です。
具体的には、1年・5年前・10年前と比較して、視力だけの平面的な評価だけ行うのではなく「斜位量の変化」「遠方視・近方視時の両眼の内寄せ運動・外寄せ(離し目)の力」「調節(ピント合わせ)を行う力・リラックスさせる力」等、それぞれの機能がどのように変化したのか、標準値と比較してどうなのか、眼鏡作成による変化等、様々な要素を把握する事が出来ます。
ご新規の方においては、困り感が顕在化した後に当店にお越しになられる為、見ることの困難(疾患を除く)が突然のように降りかかったと捉えられる方もおられますが、現在の状態になるまでには必ず理由があります。
シンプルな例としては「老眼が始まった段階で近方視の際に字が二重に見える様になった…」等は輻輳システムが破綻した分かりやすいケースと言えます。

この状態を「突然」と捉えるのか、「早い段階で自身の見え方の特徴を知り、リスクに対する事前方策が立てれていた」という差は大変な違いがあると言えます。
見ることの困り感にある背景を把握し、それらを正しい眼鏡を掛けることで「現時点での困り感の解消」を行い、現在の状態から推察できる将来に対するリスクに対して事前方策を打つ。
これが本当のメガネ作成です。

少なくとも、近視を強めたり弱めたり、乱視は疲れるから弱くする等の稚拙なレベルで作成すべきでは無いと断言できます。




 

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